足にやさしい靴(くつ)選び

【足にやさしい靴(くつ)選び】

2006年3月に発刊された「整形爛漫(SEIKEI-RANMAN)」の画像

左のページは2006年3月に発刊された「整形爛漫(SEIKEI-RANMAN)」に掲載された記事を転用しております。

にあわない靴は足の障害の元になる

外反母趾には、先天的(骨格的)特徴、生活環境や歩き方の癖、遺伝的要素などいくつかの原因があるが、靴の形やサイズが足に合わず、足に負担が生じていることが二次的な原因となっている例も少なくない。また外反母趾に限らず、足に合わない靴をはき続けると、“うおのめ” や “たこ”、爪の変形、ハンマートウ、中足骨骨頭部痛、内反小趾、外反扁平足といったさまざまな足の障害が発生しやすくなる。足の痛みや障害は、日常の歩き方や姿勢を不自然にさせ、結果的に膝関節や股関節、腰の痛みなどを引き起こす。これらはもちろん靴だけが原因ではないが、足にあった靴をはくことでこれらの痛みや障害の可能性が少しでも減るのであれば、靴の合わせ方を知り、指導することもまた、整形外科医の役割のひとつであろう。

は夕方、実際にはいて選ぶ

靴の最大の役割は、姿勢保持や歩行の際に足を支えるということである。そのためには、足の形やサイズを知り、足に合った靴を選ぶことが重要である。すなわち、靴をはいたときにすき間が大きく、緩くなっていてはいけないし、同時に、本来の自然な足の形を圧迫してもいけない。

ー人ひとりの足に適した靴を選ぶためには、本来なら最低でも長さ、周径、幅が必要であり、できれば高さ、土踏まずの位置のデータも欲しいところである。しかし、オーダーメイドで購入する場合や病院で整形靴を購入する場合を除き、通常の靴店で、足のサイズや形を示す数値は、長さと周径(A~E、EE…という記号で表示)だけである。そこで、一般の靴屋ではサイズと周径でだいたいの目安をつけ、あとは実際にはいてみて確認する。患者さんに注意しておいたほうがよい点は、靴選びは夕方に行うほうがよいこと、3~5分間はいたまま、座る・立つ・歩くという動作をしてみることの2点である。夕方のほうがよいのは、足のむくみでサイズが微妙に大きくなるためである。また、きつめの靴を嫌って幅広の靴を選ぶ人も多いが、幅が広すぎる靴は土踏まずの発達を妨げ、扁平足や開張足、さらに意外なことには外反母趾の原因ともなるので注意が必要である。

T.P.O、にあわせて靴を選ぶ

とくに若い人にとって靴はファッションの一部でもあるが、本来、運動するときには運動靴を、日常使用にはコンフォータブル・シューズ(普段ばきのくつろいだ靴)を、フォーマルな場所ではヒールの高い靴をはくなど、T.P.O.にあわせてはきかえるものである。例えばフォーマルな靴は冠婚葬祭やパーティの会場などでのみはく靴であり、会場まで移動するときには歩きやすいコンフォータブル・シューズ等をはくなど、具体的に説明すると受け入れられやすい。

齢者には転倒しにくい靴をすすめる

患者さんが高齢であった場合には、「足に合わせる」という基本から、さらに一歩進む必要がある。高齢になると大腿上部の頸体角がしだいに小さくなって両膝が閉じない “O脚” となり、また筋力も衰えるため、直立時の姿勢や歩き方も壮年者とは違ってきて、以下のような特徴が現れる。

□ 幼児期のように、足の外側を使い、脚を開いてヨチヨチと歩く
□ 足の外側に重心がかかり、すり足で歩く
□ 歩幅が狭くなり不定になる

その結果わずかな段差につまずき、転倒しやすくなる。高齢者の転倒は骨折を起こしやすく、骨折は寝たきりにつながるため、高齢者の靴選びでは、なにより転倒防止という視点が重要になる。なお、高齢者の転倒では、つっかけをはいて庭先で転ぶ場合も多いので、つっかけなどは使用しないように注意することも必要である。

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