装具(そうぐ)外来
装具療法
装具とは、失った身体機能を補う義手や義足から、一定期間装用し各部位の補強や矯正を行う治療的な装具 まで、その種類や用途は様々です。治療効果の高い装具は、医師の指導のもと、義肢装具士が一人ひとり異なる身体に合わせて作る、完全なオーダーメイドです。


何よりも、患者様が実生活の中で快適に装具を使用できるように、医師、義肢装具士、使用するご本人が一体となって取り組むのが装具外来です。義肢や装具には上の写真の他にも様々なものがありますが、ここでは外反母趾の治療に用いる「足底板(アーチサポート)」という装具を中心に、吉野整形外科で行っている装具外来の様子をお伝えします。
足底板(アーチサポート)療法
疾患情報のところでも触れますが、外反母趾や開張足や扁平足などの足部変形は放っておくと、疲れ易く歩きにくくなったり、痛みで靴がはけなくなるほど進行する場合があります。
したがって、そうなる前に進行を抑制し、より快適な足の形状を保持する足底板を作成することは、これらの疾患による障害を予防する重要な治療方法の一つです。

したがって、そうなる前に進行を抑制し、より快適な足の形状を保持する足底板を作成することは、これらの疾患による障害を予防する重要な治療方法の一つです。
装具外来では実際に靴底にしく中敷(インソール)を作成します。これは従来から行われている一般的な方法ですが、現在では最新のコンピュータグラフィックを使用し、患者様の個々の足の形状によりフィットした中敷を制作することで、さらに治療的な効果を期待できるようになりました。

トリッシャムによって採取された足底形状
足底板を作る際、当院では専用の採型材料「トリッシャム」、または「石膏」を使用します。これらの採型方法は足のしわまで再現できるほど正確に写し取ることができます。
装具外来における足底板作成の流れ

トリッシャムによる採型

石膏による採型


コンピュータ解析によるオーダーメイド制作

採型された型から足底の形状を読みとります。コンピューターを用い足底形状を解析します。
素材を加工してまずは「仮の足底板」を作成します。

足底板の仮装用

「仮の足底板」が完成したら、早速、仮装用を行います。まず「仮の足底板」を実際に靴に挿入し3~4週間程度、日常生活で使って頂きます。その後、再診時に足のアーチを保持するための起伏の高さや位置に問題点がないかを詳細にチェックし、必要に応じて満足いくまで微調整を加えて行きます。
その後、再診時に足のアーチを保持するための起伏の高さや位置に問題点がないかを詳細にチェックし、必要に応じて満足いくまで微調整を加えて行きます。

足底板の完成

十分な治療的効果が得られるよう微調整を行った後に、最終的に外張り加工をして完成品に仕上げます。
※外張りのカラーはベージュ、茶、黒の3色からお選び頂けます。
※外張りのカラーはベージュ、茶、黒の3色からお選び頂けます。
靴の準備
足底板療法では、自分の足に合った理想的な中敷を作製すると同時にそれを入れてはく靴を正しく選択しなければなりません。作製した足底板自体にある程度の厚みがありますので、普段履いている靴にそのまま挿入してしまうと、靴の中がきつくなり、せっかく作った理想的な中敷もその効果が十分に期待できなくなってしまうばかりか、かえって足に負担をかけてしまうことがあります。
市販靴で良いので、「中敷きを取り外せるタイプの靴」を購入し、もともと入っている中敷の代わりに当院で作成した足底板を挿入してあげると自分の足だけにフィットしたオリジナルシューズが完成します。中敷の外せるタイプの市販靴をご自身で用意しておくなど、靴選びにも重要な点があります。
効果の高い足底板が一つあれば、中敷の取り外せる様々な市販靴に入れ換えて使用することが可能です。高価なオーダーメイドの靴をいくつも作ることに比べ、経済面でも負担を軽減できます。なによりも、足の専門医が治療的な効果を持たせるように作成しますので、その質の高さにおいても優れています。
ただし、足底板が逆に足裏を刺激して違和感が出るケースもあります。そもそも足底板療法は、足のアーチを作るなど矯正を加える目的も有しているので、どうしても初めのうちは違和感が生じてしまう場合が多々あります。
長い時間をかけて変形した足に負荷が加わるのですから、最初は違和感を伴いますが次第に慣れてきますので治療的な意味合いを含んでいるという点を十分にご理解頂き、根気よく取り組むことが大切です。
装具外来ご希望の方
装具外来では、上記の足底板の他、義手・義肢・義足、各種矯正装具を製作致します。すべて保険適用で作成することが出来ますのでご安心下さい。
【装具外来】月・金(午前・午後)
水(午後のみ)
完全予約制となっておりますので初診の方は、まず院長吉野の診察日をご受診下さい。